AT互換機のFDDを使ってみる

PC-6601には1DのFDDが搭載されています。
Windows等でソフト開発を開発を行い実機で実行させるような場合
フロッピーディスクへの書込みもWindows上で行うことになりますが
実はこれがなかなかの曲者なのです。
と言うのも一般的なAT互換機用の2HDドライブで1D相当の書込みを行った場合
トラック幅の違いで1Dドライブでは正常に読み込めない場合が多いのです。
ジャンクドライブを大量に購入して片っ端から試してみましたが
まともに読み込めたものはほとんどありませんでした...

ムキーッ!こうなったら66にAT互換機用FDDを搭載しちゃえー!!

という訳で繋いでみたら案外簡単に使えたのでした。

【参考情報】
P6つくろうブログ : 66回路図(2)
et_levin's HP : FDD修理相談室

重要事項
1Dのトラック幅は2HD(xDD)の2倍です。
そのため2HDドライブで1Dのディスクを扱う場合
2トラック毎に読み書きする必要があります。
しかしPC-6601は常に1Dドライブが繋がっている前提で制御するので
偶数トラックにアクセスするとトラックの中間を読み書きしてしまいます。
STEPパルスを2倍に増やす回路を追加するという手も考えられますが
面倒ですし,そもそも具体的にどんな回路になるのかよくわかりません。

そこで「1Dのディスクイメージを1DDとして書込んだディスク」を作ります。
こうすると1Dのディスクとして読み書きできるようになります。
ただし当然ながら本来の1Dドライブでは読み書きできなくなります。
既存の1Dドライブを併用する場合は注意が必要です。

必要なもの
AT互換機用FDD

驚いたことに新品は既に絶滅危惧種です。
ここはひとつジャンク品を探しましょう。
ハードオフで1台\105で購入。
ピンヘッダ,ピンソケット (2X17)

ドライブセレクト端子を入れ替えるのに使います。
ドライブ1を換装する場合に必要。
ドライブ2を増設するだけなら不要です。
秋月電子通商で購入。
ネジ,ワッシャ,スペーサ

M3x8のネジ,ワッシャ,高さ3mmのスペーサ。
ドライブ1台当り各3個使います。

ネジ,ワッシャは近所のホームセンターで
スペーサはマルツパーツ館で購入。

ピンアサイン
AT互換機用のドライブをPC-6601で使用できるようにするには
一部のピンの接続を変更する必要があります。
変更が必要なのはドライブ1のPin10とPin12です。
表のように橙色のピン同士を繋いでください。

ドライブ2は変更不要。全ピン直結すればOKです。
Pin10は繋いでも繋がなくてもどちらでも構いません。

これ以外の全てのピンは同じ番号同士を繋ぎます。
不要なピンもありますが繋いでおいても問題はありません。

ドライブ1の場合
Pin PC-6601 AT互換機FDD
10 Drive Select 0 Motor Enable 0
12 Drive Select 1 Drive Select 1

ドライブ2の場合
Pin PC-6601 AT互換機FDD
10 Drive Select 0 Motor Enable 0
12 Drive Select 1 Drive Select 1


1Dドライブの取外し
PC-6601の上蓋を外します。
フラットケーブルと電源ケーブルも外します。
上蓋の内側に取付けられているFDDをブラケットごと外し
更にブラケットからFDDを外します。

ドライブ2を増設する場合は目隠しの蓋を外します。
ブラケットにネジ止めされている蓋を固定するためのステーも外します。

ドライブ1を換装する場合は外した1Dドライブは不要です。
大切に保管するか他のPC-6601に繋いで2ドライブ化しましょう。

ブラケットの加工
PC-6601のFDDとAT互換機のFDDは取付穴の位置が異なります。
ちょっと気が引けますがブラケットに穴を追加しましょう。
既存の穴と非常に近いので繋がってしまわないように注意。
本当は4箇所開ける必用があるのですが,1箇所はブラケットの
スリット部分に被ってしまうため,3箇所で固定することにします。


FDDの取付
開けた穴にM3ネジを使ってFDDを取付けます。
座面を確保するため必ずワッシャを併用しましょう。
FDDとブラケットの間に高さ3mmのスペーサを挟み込みます。
AT互換機のFDDはPC-6601のFDDと比べてベゼルの高さが5mm低いため
取付高さを調整する必要があるのです。
3mmのスペーサを入れることで開口部のほぼ中央に取付けることができます。


変換コネクタの製作
ドライブ1を換装する場合は変換コネクタが必要です。
ピンヘッダとピンソケットを使って作ります。
ピンソケットは秋月電子通商の製品が便利です。
分割ロングピンソケット2X42(84P)

(1) ピンヘッダとピンソケットを 2x17 サイズに切ります。
(2) ピンヘッダのPin12,ピンソケットのPin10を抜きます。
(3) ピンヘッダのPin10とピンソケットのPin12が互いに接触するように曲げます。
(4) ピンヘッダの短い側とピンソケットの全てのピンをハンダ付けします。


変換コネクタの取付け
ドライブ1用FDDの端子に変換コネクタを取付けます。
挿入方向に注意しましょう。
一般的に電源コネクタに近い側がPin1ですが例外もあるようです。
また,コネクタの突起位置が上下逆のものもあります。よーく確認しましょう。


フラットケーブルの取付け
フラットケーブル先端のコネクタをドライブ1に
中間のコネクタをドライブ2に接続します。

写真は左側がドライブ1,右側がドライブ2です。

挿入方向に注意しましょう。


ブラケットの取付け
FDDブラケットを上蓋に取付けます。
向かって左側のネジはアース用の銅板を共締めします。


フラットケーブル,電源ケーブルの取付け
フラットケーブルをPC-6601の基板中央のコネクタに接続します。
何度も言いますが挿入方向に注意しましょう。
電源ケーブルも接続します。
ドライブ2用の電源ケーブルは結束バンドで固定されていますので
予め結束バンドを切っておきましょう。


上蓋を閉めて完成
ケーブルを挟まないように気を付けながら上蓋を閉めます。
ネジを締めたら完成です!



ベゼルの隙間はこんな感じ。
スカスカなので何か適当なパネルを作るとよいでしょう。



ドライブを増設した場合は背面のスイッチを忘れずに切り替えましょう。




専用ディスクの作成
前述した通り,AT互換機用FDDに換装すると
従来の1Dディスクをそのまま扱うことは出来なくなります。
うっかり書き込みをしてしまうとデータを破壊してしまいます。
そこで専用形式のディスクを作成する必要があります。

NDittを使う
実ディスクからディスクイメージを作成してあることが前提です。
1Dのディスクイメージを1DD相当のトラック間隔でディスクに書き込みます。
具体的にはNDittのコマンドラインでディスク形式に1DDを指定します。

【例】1Dのディスクイメージ image.d88 をAドライブで書き込む場合

> nditt.exe w 1DD A: image.d88


1Dドライブからコピーする
1Dドライブを残したままドライブ2にAT互換機用FDDを接続した場合
PC-6601ユーティリティディスクの"ディスクコピー2"を使って
ドライブ1からドライブ2にコピーすると専用ディスクを作成出来ます。
ただしメーカー純正ツールなので標準フォーマットのディスクに限ります。

【注意事項】
・オリジナルディスクを破壊しないようにライトプロテクトしましょう。
・2HDのディスクを使用する場合,2HDの識別穴をテープ等で塞ぎましょう。
・想定外のトラブルが発生する可能性があります。覚悟して使いましょう。